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『極私的駅』

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〔駅舎の跡もなく〕

映画祭コンクールに応募する。先にエントリーNoをもらい、DVDにNoを書き込んで来週郵送すればここ5年をかけた撮影の、自主制作8作品目の作業が終わる。しかし、こんな変なドキュメンタリーを見せられても審査員は困るだろう。なんしろ社会問題を描いたり、ある人間を描いたりのものではない。むしろ人間など殆んど出てこないし、ナレーションなどもない。ある駅舎を中心に定点観測したような21分の作品だ。間違ってもなにか入選するとかはないだろう。ただこの映画祭に応募することをモチベーションとして、あるいは誇りにして撮り続けてきたといえる。あとは今年10月5日から始まる映画祭を見に行くのが目標だ。
応募用紙に書いた短い作品概要を記し、この概要文章を読んで映像を感じて下さい。

山形国際ドキュメンタリー映画祭 応募作品 『極私的駅』 (21分) HDサイズ カラー
  〔作品概要〕
 列車時刻表には朝夕上下1本づつの時間しか書かれていない。駅舎そのものは、地方によくある木造の古い造りだ。北海道の秘境駅として鉄道ファンには全国的知られているようだ。なるほど乗降客は極端に少ない。5年間撮影に通ったが、ついに1人の客も見かけることはなかった。ただ冬のホームは除雪され、夏には小さな花壇に花が咲き、年中鳥の声が聴こえる。掃除も含め少ない地域の住人が存続を願い守られていた。この駅には春も秋も無かった。何月に行こうが、冬か夏の姿しか見せなかった。そしてついに2016年3月25日をもって廃駅になった。
 その駅舎を中心とした定点観測ドキュメンタリー。

 廃駅になったあとの6月、皮肉にもその駅で人を見かけたのは、駅舎解体にかかる作業員たちの姿だ。84年の、地域の歴史が壊されていく。

 冬、雪の降るなか痕跡を隠したかっての駅舎跡に特急列車が通過していく。かろうじて見える2本のレールだけが、残された松の木が、少なくなった住民の心をつないでいるのか。かってその広い面積をもつ村には、5つもの鉄道駅が在った。いまはもう、たった1つの駅しか残っていない。
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BIN山本

Author:BIN山本
私は、「登別映像機材博物館」の館主です。
「登別映像機材博物館」は私たちが今まで現場で使用してきたビデオ放送機材やフィルム機材を俯瞰し、その変遷の躯体をもって動態保存展示するものです。映像ソフトが時代の文化だとするなら、それを生み出したハード機器(撮影機材や再生機材、編集機材、音声機材)もまた文化遺産だと考えています。
 映像機器メーカーでも放送局でもなし得ない、町場のプロダクションが最近まで使用してきたVTRやビデオカメラをはじめ、フィルム機材を含めた放送機材の変遷史ともいうべき動態機材展示です。そのつもりで仲間のプロダクションなどの協力も得て、少しずつ集めておりました。入場無料、日本で唯一の『映像機材総合博物館』です。
 多目的ステージもあります。是非一度お立ちよりください。

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